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悪魔のいけにえのkuuのレビュー・感想・評価

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)
4.0
『悪魔のいけにえ』
原題The Texas Chain Saw Massacre.
映倫区分R15+.
製作年1974年。
日本初公開1975年。上映時間83分。

殺人鬼レザーフェイスの恐怖を描いたホラー映画の不滅の業績。
監督は、これが商業映画初作品だったトビー・フーパー。
なんでもギレルモデルトロは、今作品を見た後、菜食主義者になったそうです。
米国のウィスコンシン州で実際に起こった残忍な殺人事件を基に、旅行中の若者たちがテキサスの片田舎で殺人鬼に襲われる様を描いたアメリカンホラー。

サリー、ジュリー、フランクリン、カーク、パムの5人組は、夏休みを利用してドライブ旅行に出かけ、その途中でヒッチハイクをしていた男を車に乗せる。
しかし、男はナイフで自らを傷つけるといった行動を繰り返し、異常を感じた5人は男を車から追い出す。
やがて一軒の洋館を見つけた5人は、その家に立ち寄るが。。。


ベトナム戦争後数年間のホラー映画には、モラルの低下が数多く描写されている。
失礼ながらそう云うのは社会に反映してるんやと思う。
オープニングナレーションをするジョン・ラロケットの支払いはマリファナのジョイントやったのは時代ならでは。
殺人者たちはより深く匿名性を追求し、無償の暴力が中心となる米国の暗い下層部をメタファーとした人間味のない形で描いているかな。
今作品は、このようなポストモダンでモラルの欠如したホラー映画にぴったりで、変装した殺人鬼が口紅で汚れた人間用のレザーマスクを被り、無実で社会的に解放された旅行者にサディスティックな欲望を演じている。
前半はすべて白昼堂々と起きており、被害者の単なる好奇心の結果であるという事実は、このリアリズム感をさらに押し上げてるし、ホラージャンルでは、昼間は安全な状態とみなされるという概念を覆すものちゃうかな(当時なら尚更)。
闇が暴力を生み、仮面を被った殺人者が影に潜んでいなければ効果的に観てる側の恐さと云う感情を捕らえることができないちゅう概念はもはや存在しないようになったし(当時はマニアックなファンにかな)、現在では無いことないが今作品がそれをやり遂げた意味ではホラーの金字塔と書いても過ぎないんじゃないかな。
レザーフェイスの家にある大量の人骨、ミートフックに吊るされた死体の嫌なイメージ、殺人鬼の武器として使われている派手なチェーンソーのキッチュさ、これらすべてが悲惨なドラマの層を形成している。
しかしフーパーは、スーパーナチュラルをそこにブチ込むことで、現実に即したプロットから逸脱することは決してしない。
監督のオリジナル作品は、映画やコミック、さらにはオリジナル作品のビデオゲームなど、40年近くに渡って(今回はその40周年記念版てのをアマプラで視聴)、いかに監督の描く忌まわしい現実が影響を与え続けているかを物語っているんやと思う。
ホラー映画は、見る人に恐怖感を与えるのが醍醐味なんやけど、たとえ捏造された内容であっても、現実に即したストーリーであれば、その恐怖感にニュアンスを与えることができる。
ホラー映画ちゅうジャンルを再構築する上で重要な役割を果たした古典的なホラー映画として、今作品は当面の間、コアなファンに愛され続けるんやろな。
先日ネトフリのドキュメンタリー
『レインコートキラー ソウル20人連続殺人事件』(3話完結)を観て(フィルマークスには今のところ記載欄がないのは残念だけど)思ったことは、リアリズムの恐怖は、スーパーナチュラルなストーリーよりも視聴者の心に響くものかな。


レザーフェイスは、
"キリング・マスク"、
"オールド・レディ・マスク"、
"プリティ・ウーマン・マスク "
の3種類のマスクを被っていた。
ガンナー・ハンセンによると、トビーとキムによると、レザーフェイスがマスクを被っていた理由は、マスクが彼の個性を決定していたらやと云う。
その日になりたい自分に合わせて、どんなマスクをつけるかを決める。
だから、ドレイトンがサリーを連れて帰ってきたとき、レザーフェイスは "オールド・レディ・マスク "をつけていて、エプロンをつけて木のスプーンを持っている。
夕食時には、化粧をした "プリティ・ウーマン "という別の顔を。
" プリティ・ウーマン"の衣装は、レザーフェイスがディナーのために『ドレスアップ』しているように、女性のかつらと黒いスーツで構成されており、これは彼の南部での生い立ちに由来する深南部の古い伝統であり"キリング・マスク"は、彼が捕虜を追いかけて殺害する際に着用するスキンマスク。
ハンセンはマスクのアイデアは、マスクの下には人格がないということだと後に語ってる。
仮面の下には何もない、それが彼の恐ろしさなのですと。

子供たちが立ち寄ったガソリンスタンドは、元の所有者の家族から買い取ったもので『テキサス・チェーンソー大虐殺』のホラーキャンプ場に改装されてる。
新しいオーナーは、このリゾートのためにオリジナルまたは現代の時代物をできるだけ多く探して購入しているそうです。
オーナーはは、レストラン、音楽会場、宿泊用キャビンを設置してるそうやけど行ってみたいやら、行きたくないやら。
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