「いい違和感」とか、「いい気持ち悪さ」を持つ映画がある。
今作は、その度を超す映画だ。作品から異様な雰囲気が溢れ返ってて、気分が悪くなる程だ。正直、久々にホラー映画を見たせいもあるが、見たのを後悔するレベルだった。心身衛生上、あまりよくない。ホラーの耐性がない人は、トラウマになるかもしれない。それくらい強烈なエネルギーを持っている映画だった。
でも、たまには、こういった頭のおかしい映画を見るのもいい。自分の常識を飛び越えることで、物事を測る物差しをリセットできる。そういう効果が映画にはあると思うから。
お金がなかったから、安いカメラで撮ったらしいが、映像の荒さがこの作品のオリジナル性をさらに高めた。ロケ地も圧倒的に少ないし、役者も無名。映画は制作費じゃないことがわかる。工夫次第で、制約があっても、名作になる。
「そんなシーンを撮るか!」と思わず唸る展開。単調に進むストーリーも、ドキュメンタリーのようにリアル。そういう意味で、本当にアイデアや脚本が素晴らしい。
視覚的なグロいシーンは、そこまでない。人体切断とか、血みどろ描写もほぼない。それなのに、かなり衝撃を受けてしまう。人間の想像力が、それをやってしまう。
ーーーーーネタバレーーーーー
・お父さんがほうき棒で、女を突き回すシーン。
→お父さんのニヤニヤとした顔が脳裏にこびりつく。
・晩餐のシーン。
→目のアップと気味悪い笑顔に、思わず顔が歪んだ。
・朝日に照らされるレザーフェイス。
→狂気的な美しさがあった。