徐々に増幅する不安と戦慄の惨劇で魅せるニューシネマなスラッシャー金字塔。
タイウェストの"Ｘ"と"pearl"がめちゃくちゃオマージュしてると噂を聞き、お恥ずかしながらやっとこさ今作を鑑賞してみた。
まずオープニング、ニュース番組みたいな語りが無造作にテキサスというヤバい田舎を語りだす謎の不穏さにヒリヒリする。そして唐突な墓場の美しエグいオブジェにヒェッって声が出そうになった。よくわからないんだがなんだがヤバい雰囲気がビンビンで初っ端心掴まれる。
まあ前半は"Ｘ"がオマージュしたよろしく、テキサスのクソ田舎にやってきた若者たちのだらけ旅みたいなテイストで進んでいく。だが唐突に風が吹き車イスの男が転がるヒヤッとした小さなスリラーでハッと我に帰るというか。だらけた様相なんだがなんだか不穏が拭いきれない良い塩梅、そして謎のヒッチハイカーを乗せたことによるイヤーな不穏さがマジでうわってなった。いるよなーこんなやつってシンプルに思うんだが、自傷行為からの狂行がリアルな怖さを見せつけるのがやべぇ。
前半の中盤になってからさあ待ってましたと言わんばかりのスラッシャーシークエンスには流石に狂喜乱舞。家の中に赤い謎小部屋があるというビジュアルとレザーフェイスのキマッた登場シーン、スプラッターではないが容赦無く人体を切り刻む残忍さがマジで素晴らしい。そしてそこからはあれよあれよというままに次次仲間が殺されていく怖さと勢いにテンションが爆上がりするぐらい楽しめた。
それに対し後半はわりかしガラッと印象がチェンジし、若者集団のガールにフォーカス。一人生きて捕まり逃げたと思い助けを求めたやつも実はやばいやつだったと、ガールと一緒に恐怖を共感するムービーがまた恐ろしくて良いんだなこれが。"pearl"でオマージュされた狂気の食卓シークエンスなんかやばすぎ、ガールのグリーンアイズにズームインしクローズアップで狂気の瞳を映しまくる。狂気の笑みを浮かべる家族.発狂しだすガールのイヤーな音響が加わり唯一無二な恐怖を形成していく。前半とはまた違う仕様に驚きめちゃくちゃ魅せられる。
そして勢いで見せていくラストにはまたたまげた、レザーフェイスに追われ狂った笑いで逃げるガールの精神崩壊さ、伝説的なダンスを魅せるレザーフェイスの悔しさまで素晴らしきエンドロールを迎える作品だった。また撮影のズームインアウトの使い方なんかはけっこう際立ってたし、クローズアップの使い方はマジで唯一無二でインディペンデントな映像マジックまで感じたかと。アメリカンニューシネマな時期にインディペンデントで撮られたスラッシャーというだけでも印象良いのに、めちゃくちゃ食い気味で面白い大好きな作品に出会えた。
