真田ピロシキ

悪魔のいけにえの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)
4.8
トビー・フーパー追悼で久方の鑑賞。今更言うことでもないが、モキュメンタリーでもないのに映画全体を覆う生々しさが尋常じゃない。物騒な世情を伝えるラジオから対処に困るヒッチハイカーにクソ田舎の熱気と不穏な要素をばら撒いた後に登場するレザーフェイス。その登場がドーンとではなくヌッとで、有無を言わさずハンマーで殴打しビクビクしている男を抱えてドアを乱暴に閉める姿が日常に闖入してきた理不尽な暴力をまざまざと叩き込む。この暴力の理不尽さは殺される主人公側にこじつけでも理由がない(敢えて言うならテリトリーを犯したこと)のが一層恐ろしく不安を煽る。見終わった後に強く感じたのは安堵より疲れだった。普通のホラーのように楽しく消費できるものじゃあない。