イペー

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗のイペーのレビュー・感想・評価

4.2
荒野の二等辺三角形!

セルジオ・レオーネ監督による"ドル箱三部作の三作目。
南北戦争の最中、兵士の隠した大量の金貨を狙う三人の無法者を描くマカロニウエスタン。

「マカロニとか最近観るんだよね。」とか抜かしてた、この間までの自分こそ首吊り縄の刑に処してやりたい気持ちでございます…。
物事には順序があるだろう、と。

ついついマイナーな作品に手が伸びがちな自分を戒め、"これぞマカロニ"な本作を遅ればせながら鑑賞いたしました。

…カッコいい‼︎
これ以外に語ることを放棄して逃げ出したい…。

マカロニに特徴的な顔(ツラと言いたい)のアップはもちろんの事、荒野を背景に立ち姿が映えてます。
あらゆる場面で画がキマッていて溜息。
アングルとかフレーミングとか専門的な知識は無いけれど、監督の画面へのこだわりはハッキリと見て取れました。

善玉、悪玉、卑劣漢。三者三様の個性を発揮して、お宝を巡る争奪戦が繰り広げられます。
三人に共通するのは銃の腕前とアウトローの美学。
時に反目し、時に共闘しながら、己のルールに従って生きる男たち。

イーストウッド=ニヒリスト。
ヴァン・クリーフ=リアリスト。
イーライ・ウォラック=トリックスター。
ざっくり言えばこんな感じでしょうか。
軽妙でシニカルな三人の応酬も見所です。

ウォラック演じるトゥーコがお気に入りです。
彼を含めると、少しいびつな三角形。
お調子者で三枚目な彼を中心に、ストーリーが転がります。

性格もスタイルも異なる彼らですが、根っこのところで繋がっています。
"無法者の流儀"とでもいうのかな。
今は敵でも、同じ立場なら同じ事をしただろう…っていうね。
説明臭いセリフが無くとも、伝わってくるんですよ…。
…伝わってくるんですよ‼︎

興奮しちゃいましたね…。
砂埃にまみれても、あるいは蝿が止まってもカッコ良い顔。いや、ツラ構え。
塩顔のイケメンとは対極ですが、"顔"で語るにはそれぐらいの濃さが必要だと思います。

クライマックスの対決。息を呑む緊張感。
そして粋な幕切れ。
…カーッコイーィッ‼︎‼︎

自分の乏しい経験から言っても、王道のマカロニ活劇だし、破格のエンターテイメントだと思います。
前作との繋がりはほぼ無いので、マカロニの入り口としても、丁度良いのではないでしょうか。

…マカロニ道はまだ始まったばかり。
通を目指して、まずは基本から押さえねば。
よし、次こそは『荒野のドラゴン』を!
イペー

イペー