ひでぞう

ギルダのひでぞうのレビュー・感想・評価

ギルダ(1946年製作の映画)
4.0
 ファム・ファタールとしてのギルダ(リタ・ヘイワース)という点では、確かに、長い黒髪と洗練されたドレス、そして、何よりも、その歌声とダンスは、惹きつけるものがある。特に、ギターを弾きながらの「Put The Blame On Mame」は素晴らしい(アニタ・エリスの吹き替えであっても)。しかし、どうにも、ジョニー・ファレル(グレン・フォード)の心情が理解できずに、冗長にみえる。ギルダの夫:ベイリン・マンスン(ジョージ・マクレディ)が亡くなったとするあとには、ファレルは、ギルダと結ばれ、ある種のハッピー・エンドになるはずだ。にもかかわらず、ここからが冗長で、なぜ、ファレルは、あれほど、ギルダを抑圧するのか、拘束するのか、理解できなかった。
 しかし、フィルム・ノワールを紹介するサイト(極めて優れている):「ランダム・ノワール」https://www.random-noir.net/gilda-1946/
の解説を読み、疑問が氷解した。それによれば、ジョニー・ファレルとベイリン・マンスンが、ホモ・セクシャルの関係にあり、ギルダは、むしろ、ファレルをヘテロセクシャルな関係に引き戻そうとすると人物であるというのである。これには、驚いた。そうであれば、確かに、マンスン「亡き」あとの、ギルダとの関係が緊張のなかで持続されていくことも理解できる。一見冗長だが、そこには緊張が隠されている。これだから、映画は一筋縄ではいかない。畏るべし。
ひでぞう

ひでぞう