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ギルダのKinaponzのレビュー・感想・評価

ギルダ(1946年製作の映画)
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今夜の月はやけに大きくて

  望月とはまさに、

 いま懸かっている月のことを云うのでしょうね。

       *************

『マルホランド・ドライブ』で
 ルース叔母の家に飾られているのが本作のポスターで、

 ローラ・ハリング演ずる記憶をなくした女性が
 このポスターを見てリタと名告るシーンがあります。

 また『ショーシャンクの空に』でも作中で
 本作が上映されるシーンが出てくることは
 つとに知られています。

 ことほど左様に、ギルダのリタ・ヘイワースは
 格別な存在であるようですが、

 その理由の一つは、偽悪的に振る舞って
 男心をもてあそぶ悪女を装いながらも

 実のところはひとりの男に心を残している、
 と云う一途さにあるのであろうと推察します。

 かたやその想われびとのジョニーは

 自暴自棄の流れ者として身を持ち崩すところを
 当地のカジノのオーナーに目をかけられ
 その右腕として頭角をあらわし、

 そんな中ひょんな事からギルダと再会を果たします…。

 ふたりの過去に何があったのかは、
 観客には明かされないままで

 ふたりの胸中を互いに打ち明けられないもどかしさ、
 ゆき違いの描写で観客を終盤迄ひっ張っていきます。

 はたしてふたりの思いのゆく末は…。


 筆者のようにせっかちでいざこざは避けたい派からすると
 何もそこまで互いにこじらせなくても

 と思ってしまいます。


 ジョニーもひと廉の副支配人として一目置かれる存在でありながら、
 浮わついたところがなく、身持ちが堅いところに好感がもてますが、

 それゆえにこそギルダの人目を惹くまばゆい輝きに対して、
 平静ではいられなくなったのかもしれません。
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