ピュンピュン丸

銀座の恋の物語のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

銀座の恋の物語(1962年製作の映画)
3.9
心の底まで痺れるような〜♫
吐息が切ないささやきだから〜♫
この裕次郎の甘い歌声と、この映画と、そして浅丘ルリ子が、この時代の『銀座』のイメージを決定したと言ってもいいのではないか。

この映画の価値は、もはや映画の範疇を軽く超えてしまっていて、時代の文化遺産とでも言うべきものになってしまっている。

だから、ストーリー云々を論じるより、この映画がどれだけ日本のこの時代のムードを表現できているかという点に論点をうつすべきなのだ。そういう意味ではこの映画に勝るものはあるまい。

ところで、この映画を初めてビデオ鑑賞したのは、世にビデオ屋さんが乱立していたころ、当時自分は大学生だったが、有名すぎるタイトルとは裏腹に、わざとらしい台詞、不自然な展開、それ程でもない裕次郎のカッコ良さに「なんだぁ」という感じだった。それでも、しつこいほど流れるこの歌と、浅丘ルリ子さんの可愛いらしさには感じ入ったものだった。

あれから、うん十年の歳月を重ね、ふと、何気なく再鑑賞したくなり、ベッドで寝ながら鑑賞したが、結果、夜を明かしてしまい、涙がぼろぼろと…。

何が違うんだろう?
映画はふとまた見たくなり、何気なく手をとったときが心の何かの準備が整った、ベストの鑑賞どきということなのだろうか?

思えば、昭和の大スター裕次郎が逝去した年齢をいつの間にか越えてしまった…。

今回は裕次郎がカッコ良く見えたし、その魅力にも素直に気付けることができた。

「銀座」はあの時代の何かの象徴だった。そして、その時代の親から生まれた世代である自分にとっても共通の何かの象徴なのに違いない。

そう思いつつ、会社帰りの電車の中でこのレビューを打ちながら心の中で裕次郎を気取って、この歌を口ずさんでいる。笑