爆裂BOX

ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.6
美しい妻と可愛い娘を持つ、デンバー警察のジョセフ・ソーンは風変わりで胡散臭い刑事。肉を引きちぎられて殺された男の殺人現場で彼は子供の切断された指と不思議な箱を見つけ…というストーリー。
クライヴ・バーカー原作の人気ホラーシリーズの第五弾。監督は「NY心霊捜査官」や「ブラック・フォン」のスコット・デリクソン。子供の頃に3作目までは見ましたが、4作目を飛ばして5作目を鑑賞しちゃいました。まあ、ストーリーは繋がってないようで問題ないですが…
主人公のジョーは仕事前にドラッグキメて、美人の奥さんと可愛い娘が待つ家に帰っても捜査があると言ってすぐ家出て売春婦とまたドラッグキメながら寝たり、その売春婦が殺された現場で相棒に罪着せようとボールペンと煙草現場に仕込んだりするようなクズですが、そんな彼が高校の同級生である男の殺人現場で切断された子供の指とパズルボックスを見つけ、それを解いたことから地獄めぐりが始まります。クズなんだけど、発見される指の持ち主の子供が生きてる可能性にかけて助ける為捜査を続ける所は彼の中でクズだけど人間として譲れない最後の一線なのかな、とも感じられますね。
「ヘルレイザー」シリーズの中でも異色作で、それまでの主人公と魔導士の対決を軸としたスプラッターホラーから主人公が現場で見つけたパズルボックスの元の持ち主である「エンジニア」という謎の人物を追う中で主人公の身の回りの人物が殺され、やがて主人公の心の内部の闇を巡っていくサイコ・サスペンス調のストーリー展開になっています。なのでスプラッターなシーンはかなり控えめになっています。
作品の顔であるピンヘッドは狂言回し的な立ち位置で出番は少ないですが、主人公を悪夢のような状況に追い込んでその罪と向き合わせる天使とも悪魔ともつかないような所は初期の味出てたんじゃないかな。他の魔導士もチャタラ―と新登場の双子クリーチャーくらいしか登場しないので魔導士の活躍期待するとがっかりするでしょうね。双子クリーチャーは「サイレントヒル」のナース彷彿させて気持ち悪さと色気感じられて良かったですね。主人公の皮膚の下に手を突っ込んで撫でまわすシーンはエロかったですね。
捜査を続けるうちにドンドン主人公が現実と悪夢の境界を見失っていく所は「ジェイコブス・ラダー」みたいでしたね。ちょっと「サイレントヒル」っぽい所もありました。
ラストではお馴染みの空中から伸びてくるチェーンで体を突き刺されるシーンも出てきましたね。自分の最悪の時間を永遠に繰り返され、強制的に自分の犯した罪と向き合いさせられ続ける場所が地獄なのか。
シリーズの中では異色作で、批判多いのもわかりますが、サイコサスペンスホラーとしては独特の空気感もあって楽しめました。