海

コーリングの海のレビュー・感想・評価

コーリング(2002年製作の映画)
-
病院の待合室にはカップジュースの自動販売機があって、ココアとかバニラとか甘い匂いが立ち込めていた。それは病院の匂いじゃなかった。黙り込んでるひとは何を見てたろう。スマホをさわってるひとは何をしてたろう。「愛しているからって干渉しすぎたらいけないわ」と娘さんの話をしていた女の人は、なぜあそこに居たんだろう。どこが悪いんだろう。どこが悪くないんだろう。何が過ぎるんだろう。何が足りないんだろう。何を見て何を聴いて何を選んで何を信じてるだろう。ひとの数だけ神さまが居る。きっと愛する者のかたちをしている。誰かのそれを想像してもその時だけは許される気がしていた、平日の午後の病院の待合室が好きだった。
海