爆裂BOX

フランケンシュタインの復讐の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.4
ギロチン刑にかけられたフランケンシュタイン男爵は彼を信奉する男カールにより助けられる。名前を変えて医師をしながら再び人造人間の研究に励みはじめる…というストーリー。
ハマー・プロ制作によるフランケンシュタインシリーズの二作目です。フランケンシュタイン男爵役のピーター・カッシング、監督テレンス・フィッシャーも続投しています。
物語は前作のラストからの続きとなっており、ギロチン刑にかけられる寸前で彼を信奉するカールにより身代わりを用意して助かった男爵はシュタイン博士と名を変えて医師として働きますが、彼の正体を見破って弟子を志願した医師ハンスと共に体の不自由なカールの脳を再び作り上げた人造人間に移植する実験を行います。前作では人造人間の存在を信じてもらえず、怪物が犯した殺人が男爵の犯行ととられて死刑になりましたが、今作では人造人間作った事で悪名轟かせているというちょっと矛盾した設定になっています。
今回の男爵は前作のエキセントリックな感じは薄くなり、冷静沈着に実験に勤しむプロフェッショナルな人物という印象になっています。医師会が嫉妬するほど医師としての評判も良く、貧しい人達を無料で診察する面も見せてくれます。もっとも後者は「ここ悪くなってるから切らなきゃいけないよ」と人体のパーツを手に入れる為の隠れ蓑ですが。
水槽に入れられた手足と眼球が炎を近づけられると其々反応を示したりという描写もありますが、今回は前作の様な怪奇ホラー色は薄く、SF映画としての色が強い作品になっていますね。
今回の人造人間であるカールも見た目も人格も最初は普通の人なので前作のリーが演じたクリーチャーの様な怪物らしさはないですね。終盤で実験室に忍び込んだ所を泥棒と思われて管理人に殴られて脳損傷して凶暴化して食人鬼になりますが、正気に戻った時に再び体が不自由になっていく事へ恐れを抱く所や、男爵に助けを求める所は悲哀感じました。
正体がバレた男爵が隠れ蓑とはいえ今まで助けていた患者達によって迎える末路は皮肉と共にすぐさま掌帰す所は妙にリアルだった。後、男爵に向って酒瓶投げつけられた時、傍にいた患者も当たりそうになる所はちょっと笑っちゃった。その後に迎えるラストはハッピーエンドな感じで面白かったです。ハンスは有能で忠実な助手だなぁ。ギロチンから救ってくれたカールと言い、男爵のカリスマ性が引き付けるのかな?
ホラー色はほぼなくなりましたが、前作と違ったフランケンシュタイン男爵の人柄も感じられてこちらも楽しめました。