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さいはての用心棒のRのネタバレレビュー・内容・結末

さいはての用心棒(1966年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1966年のイタリア/フランス/スペインの作品。

監督は「生血を吸う女」のジョルジオ・フェローニ。

あらすじ

南北戦争終結直後、南軍と強盗団の動向に懸念を抱き、北軍が残存するユマ砦に警告のために密書を送ることになった大尉のルフェーブル(アンヘル・デル・ポソ)と軍曹のピット(ネロ・パッツァフィーニ)は捕らえていた南軍の元大尉のゲイリー(ジュリアーノ・ジェンマ「女王フアナ」)と共に砦を目指すが、途中で盗賊団の攻撃に遭い、ゲイリーは単身で密書の運搬を続けることになってしまうのだが…。

U-NEXTにて。

イタリア西部劇、所謂「マカロニ・ウェスタン」の一作。

U-NEXTの紹介文で「マカロニ・ウェスタンの貴公子」と紹介されているジュリアーノ天ジェンマの初期の名作ということなんだけど、なるほど確かに整った顔立ちと渋めの目つきが実に男前で尚且つ、スタイルも良いので男臭い西部劇の中では「貴公子」という通り名がふさわしくもある。

お話はあらすじの通り、南軍捕虜として囚われていた元北軍の主人公ゲイリーが戦友たちが多く残存するユマ砦に向けて密書を届けるという内容。南北戦争のことはよくわからないんだけど、どうやら南軍有利なようで、冒頭では囚われていたゲイリーは土地勘があるということで南軍の2人と一緒に恩赦を受ける代わりに案内役もかねて、元々は北軍に密書を届ける筈だったんだけど、途中で盗賊団の攻撃に遭い、敵軍同士ながら、仲良しだったピットが凶弾に倒れ、死亡。ルフェーブルのスキをついて、一人逃亡し、その流れで得た密書を仲間の北軍に届けるという割りかし複雑な流れとなっていくので、はじめはどちらがどっちかわからなくなる部分もあるので、ちょいついていくのに苦労した。

けど、まぁそれを抜きとしたら西部劇の中では割りかし「ネアカ」というか、それこそ最近観た「殺しが静かにやってくる」みたいな陰鬱としたシリアスな感じではなく、陽気というか牧歌的なムードの中、展開されていく。

北軍の衣装もパステルホワイトに黄色をあしらったサーカス団員みたいな衣装だし、夜のシーンはほとんどというか劇中で「夜」と明言されていても、明らかに昼間(予算の都合?)だったりと、全編真っ昼間で展開されていくので、どこかのどかに感じる。

ゲイリーが途中訪れるウェスタンな街々でも人々は歌い踊り、それはそれで「ありし日の西部の良さ」みたいなものが情緒感もあって非常に良かったなぁ。

特に序盤、途中でゲイリーが助けることになる「巨乳のコニー(なんだそりゃw)」と呼ばれるヒロインのコニー役のソフィー・ドーミエ(「ありふれた愛のストーリー」)は非常に童顔で可愛らしいルックスと反面、7人の子持ちで酒場の女店主?というマダム感溢れるキャラクターが魅力的、なんか顔立ち然り、童顔で年齢を感じさせないキャラクター然りキャリー・マリガンを彷彿とさせる女優さんだった。

あと、アクション面では普通の銃撃戦もさることながら、なんといっても途中で勃発する酒場の大乱闘シーン!盗賊団のボスがいる酒場にゲイリーが侵入するんだけど、実は南軍と結託していた盗賊団と繋がっていたルフェーブルたちにバレて、反撃に遭い、酒場で人が人を呼び大乱闘が始まるんだけど、とにかく今作のガンマンたちはどったんばったんよく跳ねるwジャンプして転がったり、吹っ飛ばされたりととにかく派手な動きを演出するためか、明らかに無駄な動きが多く、西部劇というよりかは、1階と2階で行われる舞台立て然り、どちらかというと戦闘ヒーローショーみたいな感じでBGMで流されるウェスタンミュージックもあって非常に愉快痛快なシーンだった。

ただ、牧歌的なだけでなく、もちろんひりつくシーンもあって、途中南軍に囚われたゲイリーが密書のありかを吐かせるために、カンカン照りの中、強制的に目を開け続けたまま磔にされるという拷問を受けて、失明してしまうんだけど、その後囚われた先で、目が見えないまま、盲目の状態で戸惑うゲイリーを手下たちが笑っていると、実はそれは盲目の「ふり」をしていたゲイリーが一人、また一人と部下たちを殺していく流れはジェンマの演技と相まってなかなかにスリリングで面白かった。

他にもゴリラ男wこと強盗団のボス、リッグス(ダン・ヴァディス「7人の輝ける勇士」)や途中でゲイリーを助ける気のいいおっさんゴールド(ホセ・カルヴォ「行け、野郎、撃て!」)のコメディリリーフ具合などキャラクターも良かったし、裏切り者ルフェーブルとの一騎討ちでルフェーブルの銃撃で倒れた亡き親友ピットの愛銃でケリをつけた後、助けたコニーを抱き上げてキスをするという非常に王道的なラストも爽快!

Filmarksの評価はイマイチだけど、こんなマカロニ・ウェスタンも全然ありと思わせる良作でした!
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