マヒロ

ねえ!キスしてよのマヒロのレビュー・感想・評価

ねえ!キスしてよ(1964年製作の映画)
2.5
ピアノ教師をしながら音楽家を目指すオービル(レイ・ウォルストン)は極端な心配性で、美しい妻・ゼルダ(フェリシア・ファー)が自分を捨てて他の男の元にいってしまうのではないかという被害妄想に囚われていた。そんな中、彼の住む田舎町にディノ(ディーン・マーティン)というスター歌手が通りかかる。自身の曲を売り込むチャンスと考え友人と共にディノを町に引き止めることに成功するが、女たらしである彼に妻に手を出されては困ると近所のバーの従業員であるポリー(キム・ノヴァク)に妻のふりをしてもらうように頼む……というお話。

作曲家として名を売りたいという出世欲と、妻を独占したいという支配欲みたいなものがぶつかり合いどんどん事態が拗れていく様は、ワイルダー流のテキパキしたテンポもあり面白いが、完全に巻き込まれて割を食う形になる女性陣が気の毒すぎてイマイチ乗れず。
オービルが妻を他の人に盗られるのではないかとビクビクしているのが、妻を愛するが故というわけではなく自分のモノ扱いしてるからという感じがするのがちょっと怖いし、ディーン・マーティン演じるディノもタイプキャストすぎてリアルなスケベオヤジにしか見えず嫌さが勝ってしまう。オービルの役は最初ピーター・セラーズが演じていて、撮影途中で体調不良で降板してしまったらしいが、そのまま彼が演じきっていたらもうちょっと印象は変わっていたかも。失礼ながらレイ・ウォルストンの小市民感溢れるビジュアルはモラハラ夫にハマり過ぎていて、コメディとして笑えない感じになっていた。

劇中、怖い人のことを喩えるのに「ゴジラ」と言ってるシーンがあって、この時代でも既に怪獣の代名詞として認知されてたんだなとちょっと驚いた。

(2022.160)
マヒロ

マヒロ