ビリー・ワイルダー作品は倫理的に際どい題材を扱うことは多いが、今作はギリギリのところでストライクゾーンを外れてしまっているという感じで厳しい。
たまたま街にやってきたヒット歌手に、自分の歌を売り込む為に接待をするが妻に手を出されるのが心配なので別の女性を用意するというストーリーはやはりどこか後味の悪いものがあって、全体的にろくでもない男しか出てこない映画になっている。妻の身代わりに女性を差し出そうとする主人公にたいしてキム・ノヴァク演じるポリーが割とすぐ好意を抱くのもあんまり納得感がない。
主人公を演じるのはレイ・ウォルストンで別に悪くはないのだが、やはりジャック・レモンのほうがはまりそうな役どころでジャック・レモンがやっていてたらどうなっていたかは考えてしまう。