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砂の上のロビンソンのtakのレビュー・感想・評価

砂の上のロビンソン(1989年製作の映画)
3.3
不動産会社のモニターとして、モデルハウスに1年間住めば、モデル住宅と土地はあなたのものに!。そんな不動産会社の募集に応じて、理想的な家族として選ばれた木戸さん一家。モデルハウスを訪れる客の視線に晒され続けることに耐えればいいだけだと思っていた。しかし周囲からの嫌がらせは止まらず、視線に耐えるストレスで、家族は次第にバラバラになっていく。

理想的家族を演じ続けていく木戸一家。それは、社会が"安定している"と認める家族という「形」を守ろうとすることでもある。崩れていく様子はおかしくも哀しい。だが、これを観る僕らも、いや誰もが、その「形」を守ろうとして無理をしたり、我慢を重ねてバランスを保とうとしているのが現代ニッポン。この映画、今の年齢で観ると身につまされる場面が多いかも。

小沢昭一や長門裕之ら助演陣も素晴らしい。住宅業界が登場する映画ってなかなか珍しいと思うのだが。公開された1989年は消費税導入の年。住宅取得の一つのハードルと世間では見られていただろう。そんな時代に、住むだけでマイホーム!?というこの映画のテーマは、タイムリーな題材だったとも言える。
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