土平木艮

セルラーの土平木艮のネタバレレビュー・内容・結末

セルラー(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ…ジェシカが息子・リッキーを学校に送り出す場面からスタート→家に戻った途端、強盗が侵入。家政婦は射殺され、ジェシカは誘拐→どこかの屋根裏部屋に監禁、部屋の電話は破壊される→ジェシカ、電話を修理する。その電話が、見知らぬ男性・ライアンの携帯に着信。ライアンに助けを依頼→当初は半信半疑のライアン。電話から聞こえて来る様子で協力を決意→ジェシカの要望通りに…警察へ、リッキーを保護するため学校へ、夫・クレイグを保護するため空港へ…次々と廻るけど、運悪く後手後手に→強盗犯、実は悪徳警官。『麻薬の売人を殺害、麻薬を横取り』した現場を偶々撮影したクレイグのビデオカメラを押さえるのが目的→銀行の貸金庫へ行き、間一髪ビデオを手に入れたライアン。悪徳警官に追われる→ライアンが最初に頼った警官・ムーニー、『ジェシカとライアンが事件に巻き込まれている』と気付き、捜査に乗り出す→ライアン、ビデオと交換でジェシカ一家の解放を要求。取引の為、港へ向かう→ムーニーも港へ。同僚警官達の犯行と気付き、ライアンと協力して犯人逮捕→礼を言うジェシカに対してライアン「もう二度と、僕に電話しないでくれ(笑)」。


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開始3分でジェシカが誘拐され、4分半で舞台設定が整う。もの凄いテンポの良さ。

時間的には90分強の作品。だけど、満足感というか『タップリ楽しんだ感』はそれ以上。



書き起こしたあらすじだけ見ると、『緊張感漲るサスペンス』の様。
実際サスペンスなんだけど、かなりコメディ要素が強め。
シリアス路線にするコトはいくらでも出来たはず。
でも、この手の設定で『普通のサスペンス』なんていくらでもある。
この作風にしたのは正解だと思う。
バリバリのサスペンスを期待して観た人はガッカリするかも知れないけど、個人的には『かなりツボ』。嬉しい誤算だった。

ジェシカもライアンも命の危険に晒されてるのに、実際に起きる出来事に笑いがつきまとう。必死にやってるのに笑えてしまう。
ジェシカの涙ながらの訴えと、ライアンに降りかかる数々の『笑える』災難。この温度差が面白い。
『寄りで見ると悲劇、引きで見ると喜劇』っていうヤツ。

個人的には…

ライアンが携帯販売店で銃を発砲し『充電器を持って来い!』


ライアン『息子の名前は?』
ジェシカ『リッキーよ』
ライアン『リッキー・マーティン?』


ライアン『弁護士から携帯と車をかっぱらった』
ジェシカ『良かったわ』

…この辺りがツボ。



クリス・エヴァンス演じるライアンの、チャライんだけど『電話をかけて来た見ず知らずのジェシカの要望を一から十まで聞いてやる人の良さ』『およそ一般人には遂行不可能と思われる数々のミッションをこなして行く様子』が、段々『キャプテン・アメリカ』に見えてくる。


でも、最後に良いところを持っていくのは、チョビヒゲ警官のムーニー。一見、奥さんの尻に敷かれてる『うだつの上がらないおじさん』なのに、大活躍の場面ではとてもカッコよく見えてしまう。金魚に優しいトコロも魅力。



『真剣に鑑賞に望んで、結果、笑えてしまう』、そんな作品。


クリス・エヴァンスの走るフォームはとても美しい、と再確認した。
土平木艮

土平木艮