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ある機関助士のSariのレビュー・感想・評価

ある機関助士(1963年製作の映画)
3.8
記録映画作家・土本典昭監督の実質的映画デビュー作。  

1962年(昭和37年)5月3日、国鉄常磐線三河島駅構内で発生した列車脱線多重衝突事故、「三河島事故」の影響から、国鉄の安全性への取り組みを宣伝するため、日本国有鉄道(国鉄)よって企画、岩波映画製作所によって制作された映画である。

常磐線経由、青森行の急行列車みちのくを舞台に、機関士とその助士との協同作業を軸に、彼らの仕事ぶりを描く。

上記のとおり、国鉄のPR映画として企画されたが、土本監督は、機関士たちの苛酷な労働の実情や、彼らの熟練した技術の細部を映し出し、額に汗して仕事に打ち込む者への慈しみをたたえた。狭い機関室内をあらゆる角度から捉えるとともに、望遠レンズを駆使してダイナミックに疾走する汽車の美しくも力強い姿を入れるなど、力動感あふれるカメラワークも見どころ。映画史上、SL映画のベストワンとの呼び声が高い名作とも言われる。
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