丹叉

別離の丹叉のレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.8
徹底された排他的な演出。険悪な雰囲気が流れるたび扉を閉め切り娘を部屋の外へ締め出す。自分もナデルとその相手との殺伐とした空間に置かれているかのような感覚と同時に会話に参加することを許されず、部屋越しに微かに聞こえる決して好ましくない声色と音から状況を想像する、娘の苦しいだろう心情を体験する。ラストシーンにおいて娘が親に部屋を退出するよう促すシーンは、今までに娘が味わってきた排他的な仕打ちの仕返しであるかの様だった。娘がどの選択肢を選んだのか気になって気が気がじゃないだろう両親が延々と映し出される。社会的課題への問い掛けのサスペンスへの落とし込み。巧みな没入感の創出。現実感と臨場感に特化した手持ち撮影による程よい手ぶれ揺れと余りにも繋ぎが自然な連続的なカット割、連鎖反応的に巻き起こる数々のアクシデント。初っ端から優れた映像感覚を思わせるコピー機の内部から被写体を見上げるショット。脚本やべえ。社会派映画見てると思ったら思いも寄らない事案が発生してサスペンススリラーに引き摺り込まられる。贅沢にばら撒かれた伏線回収の気持ち良さも去ることながら、アルツハイマー爺の窓越し棒立ち恐怖や沸点の低い被害者夫が醸し出す一触即発しそうな緊張感など飽きさせない技術がやば
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