このレビューはネタバレを含みます
様々な賞を受賞しただけのことはある見応えのあるドラマです。
初めは小さなすれ違いから次第に事態がこじれていく様は心苦しいけど、緊張感があり、引き込んで離さない。
裁判モノの王道とはいえ、証言者のウソと真実を次第に明らかにしていく構成がテーマとマッチしていて実に秀逸。
また、イランが舞台だけれど登場人物が抱える問題は普遍的な人間関係によるもので、素直に感情移入してしまうわ。
"宗教上の理由"というイスラム教徒の心情がキーにもなってくるけど、序盤の伏線が効いていて理解しやすいと思う。
タイトルをテーマに人間同士の間に横たわる溝のようなものが見える。
その一方でかろうじて繋ぎとめようとする絆に希望も見える。
劇中ではそれが上手くいかず、様々な人の溝が深まり所謂アンハッピーエンドでもあるけれど、この映画のその安易ではないリアルさがいい。
エンドロールの長いワンカットも印象的。