桃

別離の桃のネタバレレビュー・内容・結末

別離(2011年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

それぞれの事情が合わなくなっての別れ。
当たり前だけど、その時々で一緒に居られる人は変わる。
だからこそ、その時間を大事にしよう、と思った。

イラン映画は、「友だちの家はどこ?」以来の2作品目の鑑賞。
共通点として、大人に振り回される子どもと、その子どもの賢く純粋な眼。

当作では娘のテルメーが特に犠牲になっている。
両親の離婚だけでもかなりナーバスな話なのに、大人は嘘ばかり、トラブルに巻き込まれてショックを受けるばかり。
ラストはどちらの親を選んだかわからない、という締め括りだけれども、離婚にまだ反対かもしれないし、1人で生きていくのかもしれないし。
示談金の為に両家が集まり、決裂し、帰る間際の、子ども同士で視線を送り合うシーンが印象的だった。

物語の唯一、クスッと出来たのは、裁判所廊下で、娘に誓えるかと言われた父が、「誓う」と手を挙げた時、手錠で繋がれた刑務官も手を挙げ、「君じゃないよ」ってシーン。

そんなシーンでさえ、宗教色が取り入れられている。
当作品の芯にはまず宗教がある。
「神に誓って、間違いないと言えるか?」
これは恐らく、日本人の我々が誓うより、重たいもの。
ラジエーが電話で問い合わせを入れていたように、罪になるもの。

たとえ罪を犯そうとも、守りたいもの、
それが皆異なら、歯車が狂い、糸がもつれ、絡まって、最後には切れてしまった。

介護や宗教、失業、貧富格差等、色んな要素が盛り沢山で、考えさせられ、何より俳優陣皆々様うますぎて、見応えがありました。
桃