フライ

ラスト・ターゲットのフライのレビュー・感想・評価

ラスト・ターゲット(2010年製作の映画)
4.2
暗殺者二人と恋人を撃ち殺す衝撃的なシーンで始まる作品だが、アクションシーンは無く終始地味な展開で進むストーリーは殺し屋の精神世界を強く描いた悲しい作品。
ジョージ・クルーニー出演作では個人的に一番彼の雰囲気が好きな作品だが、嫌味に感じない良い男感と哀愁が最高だった。更に共演している3人の美しい女性キャストが世界観を濃くしていたのが良かった。
殺し屋であり銃のカスタマイズまでこなす男が、殺し屋に狙われると言うストーリーだが、身を潜めた田舎町で出会う初老の神父や美しい売春婦、美しい女殺し屋との交流で少しづつ心境に変化が現れるのが観ていて心に染みた。全体的に台詞も少ない中、神父との会話は、殺し屋と知らずに投げ掛ける言葉の重みに痺れるものが。ラストは救いの無い絶望的な終わり方だが、そこが尚更本作を好きにさせてくれた。
大きな見所も無く、派手なシーンも無いので評価が低いのは分からなくは無いが、美しい売春婦の情熱的な愛情表現とベットシーン、終始怯えながら背中で語る殺し屋の悲哀と哀愁、イタリアの街並みと寂しげな音楽に胸を締めつけられる素晴らしい作品に思えた。
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