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ドラえもん のび太の恐竜のRitzのレビュー・感想・評価

ドラえもん のび太の恐竜(1980年製作の映画)
3.4
【未来の国からはるばると】

1969年にその歴史は始まった。
1973年には日テレでアニメ化されるも打ち切りに。そして1979年、テレビ朝日系列で放送が始まったドラえもんは2005年に声優陣の総交代という大変革を経て今現在も毎週放送されている。半世紀、51年という歴史のなかではじめドラえもんがスクリーンに登場した記念すべき劇場版第1作目が、この「のび太の恐竜」だ。
スネ夫に恐竜の化石を見せびらかされ自分も化石を見つけてやると豪語するところから物語は始まる。困難に直面しながらも友情や勇気そしてひみつ道具に頼りながらのび太と仲間たちが自らの力で道を切り開いてゆく冒険譚だ。
原作は月間コロコロコミック版の読み切り作品「大長編ドラえもん」がベースとなる。以降1980年から2005年までの劇場作品は基本的にこの大長編ドラえもんを元にして制作されている。ちなみにこの「のび太の恐竜」〜「のび太のワンニャン時空伝」までは併映での興行が一般的であり本作も例にもれず映画館では「モスラ対ゴジラ」との併映で上映された。
さて今作だが映画版の1作目とはいえ特にこれと言ったコナンのような前口上はない。アバンパートから慣例の「ドラえも〜ん!」ではなくタイトルバックの後すぐに主題歌で始まるオープニングなのが特異な点。ちなみにオープニングが「あんなこといいな♪」ではなく「ほんわかパッパ」だったのには驚いた。
映画版ジャイアンに代表される主要キャラの若干の味付けの変更は1作目からおこなわれており当初からコンセプトとして短編との差別化を図っていたことがうかがえる。タイムマシンのサイケデリックな描写やアニメーションというより活動漫画とも言うべき平面な画面に戸惑いつつも旧ドラ声優陣の声に懐かしさと安堵の念を抱かずにはいられない。半世紀前に生まれ未来の国からやってきた猫型ロボットはいまもぼくらに夢をあたえ続けてくれる。
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