はやと

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録のはやとのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

再鑑賞


オールタイムベストでもある『地獄の黙示録』の制作の裏側を記録したドキュメンタリー。

色々な書籍やネットの情報で同作品の撮影の過酷さは知ってはいたが、実際に映像で観ると当時の監督や出演者、撮影クルーの苦悩が一部ではあるが垣間見える。


資金繰りの難航からコッポラ自身が資材を投じ、破産すらも視野に入れたまさに決死の覚悟での撮影。

ベトナムではなくフィリピンで撮影されるが、当時フィリピンは内戦中であり撮影に使用されていたヘリコプターが急に戦地に駆り出されるなどのトラブルや、主演俳優の交代、発作による主演抜きでの撮影、マーロン・ブランドの予期せぬ体型による即興芝居の撮影など、当時のコッポラの心境はどれほどのものだったのだろう。想像しただけでも恐ろしい。


巨額の資金が投じられ、現地には多数のアメリカ人スタッフが押し寄せ、明確な目的が不明なまま撮影が敢行されていた当時の撮影環境はまさに戦場であり、"ベトナム戦争の映画"ではなく"ベトナム戦争そのもの"であるというのも頷けるほどの狂気を孕んだ作品。
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