とぽとぽ

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録のとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
カーツ≒ウィラード≒コッポラ
=奥の奥、戻れない旅へ…

クワバ!クワバ!クワバ!資金繰りなど当初設定したよりずっとひどい状況へ…混乱を極めた映画製作の舞台裏に迫る。映画史上屈指の傑作に相応しい、時にブッ飛んだ、偉大なる制作秘話が次々と明らかになっていく。本編が狂気じみていれば、カメラの後ろ側もやはり狂気の世界か…?台詞を引用するなら、"常軌を逸し完全におかしくなり作戦手段が不健全"。アポカリプスはいつ?永遠に!
クリエイティブ面をコントロールするために、『ゴッドファーザー』の成功と収益があったからこその自腹。何もあらゆるリスクを追って、大いなる賭けに勝ってきたのは、キャメロンなどだけではない。限界まで行ってどこまでできるか?そして、それを支える奥さん・妻エレノアの存在。
落ちていく精神崩壊。最悪なのは、自惚れること。問いかけ。古来からの生命の営みや渇望、時に野蛮な本質へ、核となる部分へとリーチする普遍性はスキャンダラスでスリリングで何よりも時代に左右されることなく普遍的。

遂にはマリファナ、LSDやスピード等ドラッグを吸いながらの撮影?フィリピンで撮影しているけど、ベトナム戦争を地で行く狂気じみた現場。
そして、マーティン・シーンによる冒頭のあの"狂気"シーンで見せた実に個人的な部分=暗部・闇(※本当の血です!)。内側の面にこもり曝け出すつらい過程を現場で経て、生まれたことがよく分かる貴重な映像。それ故の真に迫るものがある名シーンに。しかも、そこから心臓麻痺って…大変すぎるマーティン・シーン。
実際に飛びかかるトラや、朝から夜まで生首役の人たち。映像技術が発展した今ならCGとかでどうにでもなりそうなのにな、大変すぎる。

当初は、マッチョな最後のジョン(・ルーカス)たちによる脚本。見えないラスト…リライトする必要、先は見えないまま。コッポラがブランドのことを"バカ男"と呼んでいるのが印象的だった。週100万ドルで3週間の契約、内100万ドルは前金。
そして、ブランドが撮影現場入り。原作を読んでこなかったマーロン!3週間って決まっているのに、キャラクターの行動原理やその背景など質問ばかり。どうにか3週間で撮り終えるか、法外な超過料金を払うか?尊大な印象を受けるけど、その後も見ているとやはり名優たる所以を感じずにはいられない。あんなに次々とよく台詞が出てくるな。キャラクターをモノにしている。
ならば即興でひたすら!依然、結末の見えないまま、どうせ破産するのになぜ続けるんだ?そこで役立つキチガイデニス"Crazy Denise Hopper"(笑)のおしゃべり説明係。


最後に語られるコッポラの夢がよかった。
有言実行だからこそ言えるその言葉の重みに鼓舞されるようだった。


「僕の得意なやり方がこの作品では通用しない」
APOCALYPSE WHEN → Apocalypse Now
「父親の部屋から8ミリカメラを見つけてオハイオのチビデブが映画を撮るようになり、凝り固まった職業主義を破壊し、真の芸術を形成する。それが夢だ」

勝手に関連作品『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』
とぽとぽ

とぽとぽ