パン

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録のパンのレビュー・感想・評価

4.3
戦争映画史に残り続ける怪作、人類の財産と言っても過言ではない"地獄の黙示録"の制作過程に限界まで迫ったドキュメンタリー映画。
普通の監督は絶対やらないような撮影をやってるから非常に興味深い内容だった。 

映画の制作者が堂々と「我々は正気を失いました」と断言してる作品なんて中々ないぞ…
アメリカンニューシネマのラストムービーくらいしか思いつかん。

撮影シーン、どこかディズニーランドのアトラクションでもあるジャングルクルーズみたいだなとか思ってたら本当にセリフで出てきて笑ったw 

コッポラの奥さんも芸術家肌だね。夫への理解力高いし。
この作品がフィリピンの大統領や軍にまで協力を要請したというのも初めて聞いたな。
しかも反乱軍が16キロくらいの距離にいる中での撮影って命がけすぎる。 

やっぱ地獄の黙示録の独特な雰囲気、狂気はこういう異常な状況だからこそ実現したんだな。 
現代人じゃ絶対撮れないわ。 

主演のウィラード大尉演じるマーティン・シーン、撮影中に心臓発作で倒れてたんだね。
その時の現場の緊張感やばそう。
もし彼がそのまま天に召されてたらこの映画は頓挫し、コッポラは借金地獄になっていたことであろう。
結構途中まで撮影してて、代役使ったとしてもこれだけの大作映画を最初から撮り直しとかいくらなんでも無理あるだろうし…

これほど大規模なプロジェクトにも関わらずコッポラという天才の孤独と苦悩が凝縮されているようなドキュメンタリー映画だった。
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