マーくんパパ

聖処女のマーくんパパのレビュー・感想・評価

聖処女(1943年製作の映画)
3.7
民衆を惑わす魔女か、聖なる神の遣い手の聖処女なのか、19世紀中頃に実在し最終的に聖女と認定されたベルナデット・スビルーとルルドの泉にまつわる伝説の映画化。信仰心厚い貧しく学のない少女にしか見えない聖母マリア、そのお告げに従ってゴミ捨て場近くの洞窟脇を掘ると泉が湧き出しその泉には難病を治癒する不思議な力があったことから町は大騒ぎに、少女を崇める人たちと懐疑と嫉妬で指弾する人たち…。キリスト受難の昔から不思議な霊力持った人間を支配者たちは特に自分たちの特権を脅かす忌むべき者として忌避してきた。本作はそんな対立の意味さえわからない娘の無垢な祈りの姿を浮き彫りにして描いていく。J.ジョーンズはそれほど好きな俳優ではなかったが、本作の喜怒哀楽を抑えた静かな演技は正に現世では報われぬ聖女の神々しさに溢れていて秀逸でした。