アノ

聖処女のアノのレビュー・感想・評価

聖処女(1943年製作の映画)
4.9
どえらい傑作だ!
床から天井まで丸ごと映す仰観カメラと美術による空間演出、
そしてそれに負けない人物の表情とクローズアップ、
ヘンリー・キングの長所が最大限に発揮されている。
泉が湧き出るシーンの落とし方と上げ方のメリハリったらもう!

全ての人物をすくい上げるシナリオ運びも大変なもの。
特にグラディス・クーパー周りが素晴らしい。
修道院に行ってからは蛇足かと思ったが最も涙腺を叩かれたのはここだった。

唯一、マリアの姿を映してしまったのはいただけない。
合成のチープさもそうだが、何よりベルナドットにしか見えないものを我々観客に見せてはいけないだろう。
せめて顔を映さないくらいの配慮は欲しかった。
しかしそれを考慮しても大傑作であることに変わりは無い。
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