イペー

壁の中に誰かがいるのイペーのレビュー・感想・評価

壁の中に誰かがいる(1991年製作の映画)
3.7
トンチ少年の建もの探訪!

スラム育ちの黒人少年が、家族を守るため、盗みに入った屋敷で出会う恐怖とは。
ウェス・クレイヴン監督による、コメディホラー。

主人公の少年、アダ名は"フール"。
母と姉と、貧しい暮らし。
弱り目に祟り目、オンボロアパートの家主が、家賃を3倍にして住人追い出し&取り壊し計画を実行するとの噂が…。

フールくん、姉の友人のワルに唆され、家主の豪邸に侵入します。
貯め込んでるカネが目的。
ところがこの家、カラクリ満載のビックリハウス。
侵入者を逃さない仕掛けがアチコチにあって、フール少年も閉じ込められちゃいます。

イカれた家主の夫婦、屋敷の地下に蠢く何か、誰かが壁の後ろを駆けずり回る音。
薄暗い邸内には謎がいっぱい。
おかしな屋敷の住人たちを交え、命がけの鬼ごっこがスタート。

家主夫婦の夫がマヌケな変態で、全身ラバースーツに身を包み、所構わずショットガンをぶっ放すゴキゲン野郎。
彼がトボけているせいで、ホラー映画としての緊張感はあまり感じません。

フール少年が、屋敷の秘密を暴きつつ、囚われの少女を助ける。基本構造としては、おとぎ話のように単純。
ここにウェス・クレイヴン流のスパイシーな味付けがたっぷりとしてあって、奇妙なテイストの作品に仕上がってます。

本作最大の魅力はフール少年のヒーロー具合でしょう。なにしろ勇敢で、機転が利くんですよ、彼。
一応ビビったりもするんですが、異常かつ危険な連中を相手に、縦横無尽の大活躍です。13歳とは思えない。
ホームアローンのカルキンくんと違って、完全アウェイですからね。
むしろダイハードのマクレーン刑事に近いかも。

薄暗いシーンが多くて、画面が見づらいのはマイナス。
ファミリーで楽しむには、ちょいグロなシーンもあるので微妙。
自信を持ってオススメは出来ないんですが、個人的には好きな作品です。
不思議な高揚感があって、痛快なラストシーンで後味もスッキリ!

…今を遡ること十数年前、映画好きの先輩にしつこく勧められて初鑑賞。
その先輩、酒乱で…。無理矢理呑みに付き合わされ、説教されたり、肩を殴られたり…。結構な勢いで胸を小突かれたりもしたな…。そういえばあの時も(中略)
久々に本作を観て、美しい思い出が蘇って来ちゃいました。
先輩、元気かな。再会したら、たっぷりとお礼をしたいですね!
イペー

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