イチロヲ

壁の中に誰かがいるのイチロヲのレビュー・感想・評価

壁の中に誰かがいる(1991年製作の映画)
3.5
スラム街に居住する貧困層の黒人少年が、貧しい家庭を助けるべく、泥棒の危険な宝探しに加担してしまう。ビックリハウス系を踏襲している、ホラー・コメディ。

貧困層の黒人少年に焦点を当てているところが最大のポイント。暴利を貪る土地の所有者(白人夫婦)との対立構図が、主人公への感情移入を促し、カタルシスを牽引してくる。一見では精神面に訴えかけてくるオカルト路線のようだが、中身は別物になっている。

「土地所有者の屋敷がヤバイところだった→サイコな夫婦に追われる→警察が気づくかどうかのサスペンス」という作劇。今では使い古しのパターンだが、少年による探索劇と脱出劇が単純に面白いし、結末が見えないため、鑑賞意欲が下降することはない。

とにかく、屋敷主人のサイコパスぶりがあまりにも愉快であり、彼の一挙手一投足に中毒性が備わっている。そのキャラクターは、日本語吹替が青野武という時点で御察し。映画の中で、頭のおかしな人を見ることほど、楽しいことはない。
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