さゆ

キャスト・アウェイのさゆのネタバレレビュー・内容・結末

キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

大学時代、作品制作が期日に終わりそうになく「もう死ぬしかない」と本気で思ったことがある。
疲労困憊と絶望の中でも作業を続けていけたのは、完成させたい意志というより生存本能だったかもしれない。
そんな自分を客観視した時
こういう神経反射的な食らい付きが生命を続かせているのだな、生きるってこういうことだなと思った。

チャックは無人島に着いた時、荷物さえ開けず、誰かに助けてもらうことしか考えていなかった。
しかし能動的に何かしないと死んでしまうと気がつき動き出す。
ココナッツジュースはなかなか割れず、死人から靴を剥ぎ、ボートを漕げば穴が開く。そんな中で火起こしに成功した瞬間の全能感に満ちた雄叫びはあまりに切実だった。

火起こしのあたりからひとりごとが減り「ウィルソン」との会話が活発になる。
これはチャックの内面の声が強くなっている証拠といえる。
内面の声に耳を傾ける能力って現実社会では邪魔だったりもするのだが。
とにかくチャックは現実世界から放り出されて、帰還した。晴れやかな笑顔で映画が締めくくられたのは救いなのかもしれない。
さゆ

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