「気がついたらそこは無人島だった」
実際には相当確率の低いシチュエーションだけど、色んな作品でやられすぎて
「ついに自分にも来たか......」
と、逆に冷静になりそう。
冒頭の荷物視点のカメラワークはなかなか面白い発想
実際、無人島に1人ってどれくらい生きられるんだろう?
火、水、食さえ確保出来れば生きられるのかな。
途中でチャックは怪我してたけど、怪我はかなりのリスクあるよね。感染症かかったらアウトだし。
それとも、その辺のリスクよりも、孤独の方が辛いのかな。
大学入学の1週間前、一人暮らしを始めたばかりでテレビもなく、WiFiも繋がらない。
その程度の孤独しか味わってない僕は、4年間誰とも話さない孤独なんて想像も出来ない。
チャックが耐えることが出来たのは、妻という希望があったからに他ならない。
だか、希望というには語弊があるかもしれない。妻に会いたいという望みが彼を生かしたのは間違いないが、彼にとって島から出ることが出来ると思える希望はどこにもなかったのだから。
『今やるべきことは分かっている。
明日も必ず日は昇る、だから呼吸を止めない事だ。 波が明日何を運んでくるかなんて誰にもわからないだろ?』
それでも彼は生きることを選んだ。
死というこの終わりのない絶望から開放される囁きに耐えながら、ただ生きた。
そこで生まれたウィルソンは、人は1人では生きられないという証拠かもしれない。『スイス・アーミーマン』のラドクリフと同じように、想像でも、誰かを作り上げるしか孤独に耐える方法はないのかもしれない。
4年越しにつまに会えたチャック。
その時彼は何を思ったのだろう。
4年間、自然と戦い、孤独と戦い、生きる糧として、思い続けたチャック。
一方、夫を失い、苦しみ抜いた上で、前に進むことを選んだ妻。
4年間膨らみ続けた思いは、どこにぶつければ良かったのか?
しかしチャックは、愛した妻の本当の幸せを考えられる男だった。
チャックにとって、妻しかいなかった。
それでも愛する妻のために身を引ける男
それがチャックだった。
ラストのシーンでチャックはどこへ向かったのだろう。
結論なんて出さなくていい。
彼女を追いかけたのか、ウィルソンと共に生きたのか、新しい道へ向かったのか。
どの道を行ったとしても、きっと彼は生きていける。
明日波が何を運んでくるかなんて、誰にも分からないのだから。