ぼそぼそとして聞き取りずらいし、何映しているかわからない時がありすぎて困るんだ。そう、映画としてドキュメンタリーとしてこれは破綻しすぎている。
なのにぐいぐい。これはもう鈍器で頭をひっぱたかれた感じなのよ。ほんと鬼が持っているような棍棒でフルスイングされた感じ。この映画ってもう原監督の暴力性(それは別に映画でふるうわけでない。監督が僕ら観客に「うるさい、黙ってこの映画観るんだ」と語りかける暴力性だ)が如実に顕れたのではないかと思っている。そうなんだ、それは「ゆきゆきて進軍」でもそうだったじゃないか。もう見たくないのにまるでスクリーンの中から手が出てきて僕らの顔を無理やりスクリーンの方向に向ける感じ。そんな暴力がこの映画にはあるんだよ。
当然、その「暴力」が一番現れるのは出産のシーンだ。あそこでもう身動きが出来なくなる。いや呼吸すら止まる。神々しいものを観たなんていういいものではない。良いも悪いも何もかも飲み込んでしまう引力があのシーンにはあるんだ。観ていたら後ろにバットでフルスイング。
主役の武田の「人」ね。ほんと原映画は「人」の強さを見せてくる。なんだかんだ言ったって「人」の魅力に僕らは平伏するしかないんだよ。