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一命の映画のネタバレレビュー・内容・結末

一命(2011年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

江戸時代、天下太平の世。

さる武家の屋敷でお庭を借りて切腹を願い出た浪人が、その当主より太平の世にあって切腹を願い出るとは見事であると、家臣に取り立てられるという出来事があった。
そこから江戸では金子目当ての狂言切腹が流行り出す。そんなある日、井伊家の前にも切腹を願い出る津雲半四郎と名乗る浪人が現われる。。。

余談ですが、
江戸時代の初期において、
初代徳川家康から三代家光の間に,改易された外様大名は175家、徳川一門や譜代大名は49家と言われています。没収石高は1847万石にのぼり、江戸幕府はこれにより力を蓄え、中央集権化を進めていました。

石高や時代によって異なりますが、
1万石で約150-200人前後の家臣相当になるため、1847万石も没収されたのであれば、多く見積もるならば、三代の間に約37万人もの人間が俸禄を失ったと考えられます。今であれば再就職は職を選ばなければ出来るかもしれません。しかし当時は太平の世であるため軍備を縮小して財政を安定させようとした藩も少なくなかったため、再士官はとても難しかったのです。

また浪人は当時、主君を取り潰した恨みから幕府は彼らの反乱を恐れており、不穏分子として監視対象にされ、「二度と仕官しない」という意思表明の上、旧主と親類や知人に身元保証をしてもらい、町の顔役である町年寄の証明を受け、都市を管轄する役所から手形をもらい「公儀ご存知の牢人」という証明書を得て、ようやく市中に住めたといわれています。

上記の理由から、
井伊家を訪ねた津雲半四郎も生活が困窮していた事は想像に難くありません。
再就職もままならず、その日生きていくのがやっとでした。

医療も福祉も発達していない時代。
とにかく必死に生きていただけなのに、
全てを失った津雲半四郎が井伊家に語ったある顛末とは。

侍の面目が如何に大事なのか、
みていると怖くなります。

全てが終わった後、
最後のシーンは狂気の一言。

何事も侍の矜持の前では無かったことになるなんて、悲しいことですが、
それが大切なものだったのでしょうか。
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