むるそー

戦艦ポチョムキンのむるそーのレビュー・感想・評価

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)
4.3
日露戦争中の1905年。第一次ロシア革命の象徴的な事件である戦艦ポチョムキンの反乱とオデッサの蜂起を市民側から描いた作品。

「血の日曜日事件」以降、抑圧的なツァーリズムへの反感が高まっている中、日露戦争で敗戦を重ね、腐った肉を食べされられながら戦争に繰り出される水兵らは反乱を決意する。

反乱は成功するも、指導したワクレンチュクは士官に射殺されてしまう。彼の葬儀をあげるためにオデッサに立ち寄ったポチョムキン号の前に、体制への反感を抱いていた市民が行列を作ってその死を悼む集会を開く。それを帝政への反乱と見た司令官が、コサック隊を率いて虐殺を行った。

第一次革命の20周年記念として作られた背景も含め、プロパガンダ的な側面も強い本作。殺された子供を抱え慈悲を乞う母親を横一列に整列した兵士が無機質に射殺するオデッサの階段のシーンは、実際に自分の中に公権力に対する反感の気持ちが湧いたのを感じたほど、映画の持つ力というのを思い知らされた。
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