桃子

白い恐怖の桃子のレビュー・感想・評価

白い恐怖(1945年製作の映画)
4.0
「Spellbound」

ヒッチコック監督は自分で脚本を書く人ではない。原作の見つけ方が上手いと思う。これは!と思った原作を、天才的な手腕で映画化する。この「白い恐怖」も面白い話をネタにしたなあと感心しきりである。あ~ これも“濡れ衣を着せられる”系の話だ。こういうのは、監督の大好物だったのだろう。
登場する病院は、たぶん精神病院。精神科のある総合病院かもしれないが、そういう風には見えなかった。この「精神科」というのがこの映画のキーポイントになっている。
ヒロインのコンスタンスは精神科の女医である。新しい病院長のエドワーズ博士が赴任してくると、一目惚れしてしまう。彼が精神に異常をきたしているとわかると、自分の専門知識を駆使して危険を顧みず彼を救おうとする。なんとも健気なヒロインである。
エドワーズが見る幻想的な夢のシーンは、かのサルバドール・ダリが協力しているという。この部分だけは予備知識があったので、食い入るように見てしまった。シュールと言ったらダリである。流石と思った。
コンスタンスとエドワーズは追跡者たちから綱渡り状態で逃げまくり、最後にとある場所にたどり着く。そこでようやくエドワーズの恐怖の原因が判明する。邦題の「白い恐怖」って、映画を見てみると10%くらいネタバレしてるのね(笑) 原題は「Spellbound」で「魔法にかかった」という意味である。たしかに「スペルバウンド」では日本人には意味不明だ…
イングリッド・バーグマンとグレゴリー・ペックのコンビ映画は初見だった。美男美女で目の保養になるし、はらはらドキドキも楽しめるし、さすがヒッチコックと言わざるを得ない。何より、ラストのサプライズはかなりのもの。そう来たか~~と、またすっかり騙された自分がいた。秀逸なサスペンスである。
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