たにたに

ティファニーで朝食をのたにたにのレビュー・感想・評価

ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)
3.7
【ハッキリしない愛の方向】2023年17本目

玉の輿を狙う高級娼婦のホリー(オードリー・ヘプバーン)。
彼女の部屋の上の階に越してきた若手小説家ポール(ジョージ・ペパード)。

非常に不思議な物語でした。
おそらくホリーがコールガールであるという明確なシーンがないこと。
そして、
ポールが中年女性からの援助という名の不倫関係を営んでいるという、我々からしたら非現実であること。
から来るものでしょう。


そんな2人が互いに心を通わせていくのですが、ホリー自身は過去に囚われるようにポールとの恋愛関係には至ろうとしないし、もどかしい時間がずっと続きます。

オープニングのジバンシーのブラックドレスを纏ったオードリーの美しさと「ムーンリバー」のBGMは素晴らしく、
ベランダでギター片手に「ムーンリバー」を歌い上げるオードリーの切なさ纏う麗しげな瞳も見事でした。

彼女は「愛」を求めて、そして何不自由ない「富豪の自由奔放さ」を求めていました。心ここに在らずな取り乱すシーンやティファニーに夢を寄せるシーン。

人間の本能そのものを彼女は体言している。

一見現実離れしたお話のようで、自制せず分かりやすく幸せなことを追求する姿は私達の心にもあるはずです。

雨の中抱き合う男女の物語など腐るほどありますが、
確かな愛に気づくハッピーエンドな物語は、時代が経っても色褪せることはないでしょう。
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