ダイアー教授

激突!殺人拳のダイアー教授のレビュー・感想・評価

激突!殺人拳(1974年製作の映画)
3.8
題:世界の千葉、これにあり
監督:小沢茂弘
英題:The Street Fighter
製作:1974年、日本、東映
出演:千葉真一、鈴木正文、中島ゆたか、石橋雅史

千葉真一さんを“世界の千葉”にした作品である。

空手の達人で裏社会の仕事人、剣琢磨(つるぎたくま)の活躍を描いた“アクション・バイオレンス・クライム・マーシャルアーツ・ちょいグロ”映画だ。
体操選手出身の千葉真一さんのアクロバティックな体技を堪能できる。
痰が絡んだようなユニークな呼吸法もオモシロい。

3つにまとめてレビューします。

1.ブルース・リー
・本作が『燃えよドラゴン』を意識していることは明白。
上半身裸での立ち回り、敵アジトへの単身潜入し、大人数を相手にして制圧する…
『燃えよドラゴン』を思わせる場面がある。
空手の集団稽古シーンも『燃えよドラゴン』の朝稽古(morning ritual)のシーンを連想させる。
・ブルース・リーのアクションはパンチとキックのスピードとキレ、ヌンチャクが魅力であるが、
千葉真一さんのそれはアクロバティックな体技と役者としての演技力だと思う。
・リーが無口で朴訥な“正義の味方”“弱者の代弁者”であるのに対し、
剣は見るからに“悪い奴”で、“裏稼業”の人間であるし、多弁である。
しかしリーも剣も曲がったことが赦せないのは同じ。

2.脇役たち
脇役のキャラが濃い。
まずは政岡せんせい、モデルは極真の大山倍達。

ヒロインはベルネラ石油の令嬢、サライ。演じるのは中島ゆたか。
サラサラの真ん中分けヘア、細身の長身でスタイル抜群。
千葉さんとは『少林寺拳法』でも共演している。

相棒役は中国人の張、通称ラクダ。
琢磨は命の恩人だそうでターレン(大人)と慕い、献身的に彼に尽くす!
「オレを棄てないでくれ、相棒じゃなくていい、奴隷でいいノダ」と言う場面は名シーン。

ライバル役は沖縄空手の使い手。
こいつの名前がすごい!志堅原楯城(シケンバルタテキ)って、かっこよすぎ。

彼の妹役は志穂美悦子。
剣に売り飛ばされて娼婦になった。
しかし、イモかったが娼婦に堕ちてアカぬけてきれいになった。
素(モト)がいいからな

3.板垣恵介
私見であるが板垣恵介の「餓狼伝」に登場する藤巻十三の顔のモデルは志堅原(石原雅史)なのではないかと思う。
板垣先生は「グラップラー刃牙」のタイトルを千葉さん主演で映画化もされた「マーダーライセンス牙」から拝借しているっぽい、板垣先生は千葉真一さんの映画を存分に意識していると思われる。