TAK44マグナム

マーキュリー・ライジングのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

マーキュリー・ライジング(1998年製作の映画)
3.3
ブルース・ウィリス主演のサスペンス映画。
本作のブルース親父は、見ず知らずの子供を冷酷な暗殺者から守り抜く、格好いい大人を演じております。

自閉症だがパズルを解くのが得意な少年サイモン。
そんな彼が雑誌に記載されていたパズルを解読すると、それは
「マーキュリー」と呼称される、アメリカ国家安全保障局(NSA)が巨費を投じて完成させた情報保護プログラムにおける「絶対侵入不可能な暗号」であったのです。万が一、暗号を解く人間が現れたら判明するように仕組まれていたんですね。
責任者のリグロー(アレック・ボールドウィン」はサイモンの抹殺を指示、暗殺者がサイモンの両親を殺害しますがサイモン自身は咄嗟に隠れていて助かります。
事件の調査に来たFBI捜査官のアート(ブルース・ウィリス)は隠れていたサイモンを保護、これがサイモンを狙った事件だと気付いた彼はたった一人で巨悪に立ち向かうことになるのですが・・・

自分の信念に基づいて行動するブルース・ウィリスは、やはり単純に格好いい。こういった役が本当によく似合いますね。
冒頭の銀行強盗事件の場面で、子供に優しい一面をちゃんと描いているので、サイモンを守り抜こうとする「無謀さ」にも説得力があります。

サスペンスを盛り上げる要素として、サイモンの「自閉症」という設定が使われている箇所がいくつかあります。
命を狙われているのに、当の本人がなかなか言う事を聞いてくれないという「もどかしさ」は、この手のサスペンス映画では定番と言えば定番ですけれど、それが自閉症の子供となると流石のブルース・ウィリスでも頭を抱えるほど手を焼くって寸法です。
サイモンの行動によってハラハラさせる手法は、高所を舞台としたクライマックスでも効果的でした。

偶然知り合ったことから事件に巻き込まれる女性を演じたキム・ディケンズは、ポール・バーホーベン監督の透明人間ホラー「インビジブル」で、透明化したケヴィン・ベーコンにオッパイをモミモミされていた女優さんですね。
それにしても、あれ程にお人よしなキャラクターも珍しい。
普通、よく知りもしないブルース親父が夜中に突然やってきたら、問答無用で警察に通報しますよ、絶対(苦笑)。

それなりに筋も通っていて良く出来ている本作ですが、欠点をあげるとすれば敵が矮小なことでしょうか。
基本的にアレック・ボールドウィンと部下の暗殺者だけなんですよね。国家の危機が掛かっていてるというのにスケールが小さい(汗)。
NSAと言えば、他の機関からの独立性も高くて、且つ非常に影響力を持っているアメリカ最強の情報機関なのに、たった一人のFBI捜査官に言いようにされるなんて有り得ないと思います。

とは言うものの、子役の演技は見事に巧いし、多少の古めかしさ(携帯電話が超デカいとかコンピューターとか機器の類が骨董品レベル・・・など)に我慢すれば、それなりに面白い佳作です。
小品ですが、ブルース親父に抱かれたいと思っていたりする女子(男子でも可)には、取り敢えずお勧めしておきましょう。


図書館(貸出DVD)にて