Melko

展覧会の絵のMelkoのレビュー・感想・評価

展覧会の絵(1966年製作の映画)
3.8
ハァ〜〜、なるほど、これはすごい。
他の方も書かれてるけどこれはまさに手塚治虫版「ファンタジア」

ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」にインスパイアされたオムニバス形式のショート集。
各エピソードが展覧会の絵として飾られ、絵がクローズアップになってエピソードが開始されるのが何とも実験的で良い感じ。

全てのエピソードにバリバリにアイロニーが効いている。
さまざまな曲調のエピソード群の中で私が一番印象に残ったのは、2番目の
”Gardener of the artificial landscape”
- 人工造園技師

放浪の旅でヘトヘトの1匹の虫(キリギリス?)
夜の大都会にやってきた彼は、飢えと渇きを癒すため、目に入った庭園で匂いに誘われ花に近づくも、それは全て「造花」
蝶々も造り物。滴る滴も固いニセモノ。
絶望でグッタリする虫。
明け方、造園技師がやってくる。彼は、形が気に入らない花びらをハサミで切ったりむしり取り、好みの形や色に変える。
シュッと何かを花にひと吹き。虫が誘われた花の匂いは、造園技師がつけているものだった。まるで香水のように。
匂いを嗅ぎ、満足そうな顔と、手入れの行き届いた美しい花の数々に喜ぶオーディエンスたち。
そこは造園技師が作った大きな庭。
彼は、今にも死にそうな虫を見つける。フンッと無下に捨て投げる。息絶える虫の額に、路地裏の雑草からホンモノの水が滴る…
美しさを求めた末の偽物
んー、このエピソードはなかなか見応えあった。音楽も終始暗いし…

5番目の”Beatnik”- 不良 も良かったな。
たまごの殻をつけた不良の「ヒヨコ」が踊りまくると言う…笑
7番目の”Zen priest”は個性的。
変化の激しい曲調にあって、絵面がほとんど変わらない。ポーズが同じの禅マスター。何じゃこりゃ…?と思ったら最後にクスッ。これはやられた。

ここにも戦争持ってきたかーと若干うんざりしたけど、ラスト「キエフの大門」の荘厳感につなげるには、なくてはならない要素なのか…?
生きとし生きた者は最後は皆同じところに集まる
でもそれは本当に…?最後まで自分のことだけを考えてしまう人間たちと、あの門の彫刻たち。

からの、地獄でthe END

なるほど、これは実験的

でもなー、すごい有名なフレーズ出てきてわぁ!てなったらナニコレ珍百景のアレだもんなぁ。バラエティに安易にクラシック使わないでもらいたいかも…
Melko

Melko