月見

ブルーバレンタインの月見のレビュー・感想・評価

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)
4.0
凄いぞこれは。失恋した気分になる。
色々と考察してしまった。


【現実的な女とロマンチストな男】
言葉の重みと浅はかさは、現実の積み重ねと未来への漠然とした希望からなる。
拒絶と嫉妬。男女それぞれの感情が実にリアル。どっちの感情もわかるから痛い。


【それぞれの言い分】
女が最後に出す「もう無理」
ここに至るまでどれだけ現実と向き合ってきたか。どれだけ我慢をしてきたか。これを覆すことは普通じゃ出来ない。

男が最後に出す「変わるからチャンスをくれ」
何を変わるのか。辛いがもはや遅い。今の相手では変わるのは最初だけで絶対に後でボロが出る。次に活かしたいと思うかどうかってだけ。

自分は女側に立ってしまったが、どっちも悪くないのかも。価値観の違いを補えきれなかっただけ。
ホテルでの会話の刺。とどめの病院。このシーンに価値観の違いとこれまでの行いの全てが詰まっていた。ああ悲しい。ホテルのセックスシーンなんて悲し過ぎる。あんなに仲が良かったのにね。


【キーワード】
二人のすれ違いのキーワードは「ちゃんとした定職に就かないの?」だと思う。
・女側
これまで相当我慢してきたし、普通に言うとケンカになるし、相手のプライドも気遣っている。だから酒の力を借りたホテルでの質問だった。でもこの質問が女側の最終確認だったのだろう。
・男側
自分はそれなりに働いて実際に子供も養えてるしこれが自分の生き方だと思っている。だからそんな重い質問だと思わず攻撃的に答えてしまう。なんにしても最近拒絶されているのは知っている。だからこそやり直そうとホテルで二人きりになりたかったのだか、それなのにまた自分を否定するような言葉を言われてイラつく。

女が「ちゃんと定職に就かないのなら別れたい」と最初に伝えていればこうはならなかったのだろうか。でもそれを言えなくしていたのは普段の男の攻撃的な会話が招いた結果なんだが、そもそも攻撃的になったのは最近の拒絶感であったり、メールや過去の嫉妬もあるから、自分を理解してくれない相手のせいだと考えてるんだろう。鶏と卵。
女側の最終通告に普通男は気付けない。だからいよいよ終わるって時に「変わるからチャンスをくれ」が出る。


【愛情の継続】
愛情の継続って難しい。
最初に感じたズレは後に大きな壁になる。その見極めなんて燃えてる最中には出来ない。
かといってズレが無いカップルなんてそうそう居ない。
大事なのは価値観の違いを埋める為の扉を互いが開いているか、そしてそれを埋め合おうとする意志があるかどうかなんだと思う。


【さいごに】
ライアンゴズリングどうやってあんなハゲさせたの?凄い。それも超リアルだった。よくできた映画だ。
月見

月見