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自転車泥棒のcamusonのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
3.0
戦後の貧しいイタリアで、
失業中の男が、職安から自転車保有が条件の職を紹介され、
質に入れていた自転車をなんとか取り戻すも、すぐに盗まれてしまい、
職を失わないために命がけで盗まれた自転車を探すという話です。

テーマは卑近で、貧しい庶民目線ですが、
映像は小綺麗で、汚い貧困は一切映っておらず、
今の感覚からするとリアルとはほど遠く、逼迫感も薄いのですが、
その代わり洗練された映像に感心しました。
質に入れたシーツを受け取った質屋の係員が、
4~5階相当の高さのある収納棚によじ登るシーンは結構な見物です。
贅沢な空間だなおい。と思ってしまいました。
自転車もシステマティックに保管されてるし。
この質屋すごい。なかなかできよる。


本作はネオレアリズモの代表作。
ネオレアリズモとは、
虚飾的なファシズム文化の反動として起こった、
現実に立ち返り、目を向ける芸術活動の流れのようです。
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