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自転車泥棒のkekqのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
3.6
俺のチャリパクった奴誰だ!絶対に取り戻す!!🚲

本当にこれがこの映画の全てだが、やたらと面白い。主人公の必死さが行き過ぎて行動が予測不能になる中盤からが最高。そして衝撃のラスト…。

大量の人間が職と富を失い、社会インフラの整備もままならない時代、それでも生きる以外の選択肢を持たない労働者層の営みがエネルギッシュに描かれており、日本の戦後モノクロ作品にも共通する力強さがある。

物語の貧しさに反して映像は非常にリッチであり、群れを成して押し寄せるエキストラの使い方、遠近法を巧みに利用した奥行きとスピード感のある追走劇など、この時代ならではの技術がかなり洗練されたレベルでふんだんに投入されている。大人と子供が別々のルートを走って画面に立体感を持たせるシーンとか本当に上手い。

撮れる人はどのような題材で撮っても面白く、またハイインパクトな社会的メッセージも込められるという悔しいお手本。そういえば「ひまわり」も必死で探し続ける映画だった。
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