鉄骨くじら

自転車泥棒の鉄骨くじらのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
5.0
チーズ

映画の教科書。泣くなと言われ、泣かないと言い、秒で泣く女のシンプルさに感動する。窓越しの窓を使ったGSや、顔の前を高速で走り抜ける自転車の車輪等の大胆で攻めたショットが、物語や人物の葛藤、芝居と完璧に調和してて映画を観たという気分になった。幸せ。

制帽を被り喜ぶ。奥さんを持ち上げて職場の中を見せる。窓を閉められる一連の芝居。質屋の棚をよじ登る仕事風景。大量のシーツが質屋に入れられている当時のイタリアの社会的背景よりも、人間が足場の不安定な場所をよじ登っている運動そのものへの純粋な好奇心が映画的な感動に変換される。
鉄骨くじら

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