よしまる

おしゃれ泥棒のよしまるのレビュー・感想・評価

おしゃれ泥棒(1966年製作の映画)
4.5
 映画「オードリーヘプバーン」公開記念レビュー、10本目!

 冒頭、真っ白な服に真っ白な帽子、サングラスも白。そしてコンパクトな赤のアウトビアンキを駆り颯爽とパリ市街を走り抜けるオードリー。

 映画としてトータルの好き度では「いつも2人で」がno.1.だけれど、「可愛いオードリーに見惚れる」というその1点にのみ絞れば「おしゃれ泥棒」が圧倒的だ。もうその美しさ、表情、仕草は暴力的と言ってもよい。

 物語としては少々年齢行き過ぎでは?と思わなくもない。まだ嫁にも行ってない一人娘のニコルを演じた時の彼女の年齢はなんと37歳。どー考えても見えないし、逆にこれで37歳は萌えるww

 贋作家の血筋に生まれたニコル、あるとき家の美術品もちろん贋作を盗みに来た泥棒と鉢合わせし、まあ要するに一目惚れ。
 相手役の泥棒はピーターオトゥール。有名な透き通るようなブルーアイズが、オードリーに惚れさせる説得力を持っているかのようだ。
 決してプレイボーイふうではないのに、すべてのセリフがいちいちおしゃれ。
 そう、おしゃれ泥棒とは、おしゃれな美術品を盗む泥棒ではなく、おしゃれな格好をした泥棒でもない、洒落たトークを交わせるおしゃれな大人捉えると俄然面白く観れる。

 オードリーに掃除のオバさんのコスプレをさせて、何のため?という質問に対して「ジバンシイが休める」なんて粋すぎるw

 コメディ、ラブロマンス、盗みのサスペンス、多くの要素を盛り込みながら破綻せず、広げた風呂敷もちゃんと畳まれて、ラストの種明かしまでしっかりと魅せてくれていた。最後までドキドキハラハラ、頭使わずに楽しめる映画ってやっぱり観てて嬉しくなっちゃう。
 オードリーの何気ない仕草のひとつひとつが、そうした「映画の楽しみ」を与えてくれるべく、計算され尽くして生み出されてきたのかと思うとほんとに尊敬しかない。あらためて偉大さに気づいた今回の公開記念レビューなのだった。