がんびーの

アメリカの影のがんびーののレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
4.1
60年前後にアメリカに衝撃を与えた新鋭監督カサヴェテスの長編処女作品。エンドクレジットで本作は即興演出によって作られたって流れてるけど本当にそうなのかしら…全部そうだったらすげえぞ。

だいぶ良かった。部屋で呑んでる時とかにずっと流してたいような映画。映像の粗さ、ジャズ音楽、音質、どれをとってもビンテージの最高峰って感じでお洒落。ほんとに59年のニューヨークを建物の影に隠れて盗み見てる気分になれる。

黒人と白人の間に生まれた3人兄妹を中心とした日常的映画。特に起承転結があるわけではないが(即興演出なんで当たり前かもだが)、決して話がダレたり逸れたりすることもなく、個性際立つ兄妹が織りなすユーモラスなやり取りと、当時の人種間でのギクシャクを等身大の表現で描いた傑作である。

この頃から同時録音可能な音響機器が出回り始めたらしく、本作品も同時録音が殆どなんだとか。役者の服にピンマイクを仕込んだり、カメラから外れた場所にマイクを設置したりなど。舞台映画が主流だった時代、保守派の方々からすると、クソ重たいカメラ諸々の機材を持って外で撮影するなんて異常だったのだろう。それもあってか、いくつかのシーンで通行人が俳優のことを直視している。この点も、当時の街の空気感だったり撮影の様子を感じることができて非常に良い。あと同時録音の機材がすごく重たかったから、三脚での撮影シーンが多いらしい。

カサヴェテスもっと観よう。
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