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アメリカの影のtoriten45のレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
3.1
50年代ニューヨークのごみごみとした通りや騒がしい住人達。過度な演出を排除した当時のアメリカのリアルがとても興味深いです。白人に見える黒人の話。確かに夢の生まれる街ハリウッドで作るの難しそう。

名だたる映画監督たちに多大な影響を与えたと言われているジョン・カサヴェテス監督のデビュー作品。なので映画のお勉強というスタンスで鑑賞しました。彼が監督した作品はまだ2〜3作しか観ていないこともあり、まずはデビュー作から見直すことに…。

カサヴェテスはハリウッド映画産業の中での制約に疑問を抱いて、よりリアルでナチュラルな表現を求めようと、映画制作会社に頼ることなく自営で映画を作る道を選んだ監督兼俳優なんだそう。

ご自身の俳優活動で得た収入を注ぎ込み、インディペンテント映画の可能性を世に知らしめたとのこと。ハリウッドの制約から解放されたことで独自のスタイルを追求することができたのですね。でも低予算での映画作りとはいえ大変な苦労をされたのではと想像します…。

本作では、アフリカ系アメリカ人の3人兄妹の関係を中心に据えて、登場人物たちの内面的な葛藤や感情を掘り下げて描写されています。夜の大都市を彩るネオンの光とストリートの影、行き交う市井の人々も1950年代のニューヨークの日常。これをバックグラウンドに情景を描き、そこに生きる人間の心情を見せてくれているのです。

ちなみに3人兄妹は肌の色が違うので、兄妹なのかすぐにはわかりませんでした。なので事前に把握しておくととっつきやすいと思いました。

☆ ミュージャンなのがお兄ちゃん
☆ 鋭い目つきの若者が弟
☆ バスのキップ売場の前で登場するのが妹

なお、アフレコ感ありありなところはご愛嬌、ということで。
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