貝

アメリカの影の貝のレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
4.0
アメリカの影の部分を描きながらその中にいる人の本質を映し出すような鋭さ。
ベニー(ベン・カルーザス)のすべてにおいて達観してる感じが良かった。どこかすべてを諦めていて、どこにも属してないような気がするような。どこにも何の説明もされないが暗に彼のアイデンティティを示してるようにも思える。ビートニクみ。妹のレリアがしきりに言う「私は私のもの」という感覚も見失いそうなアイデンティティを持つ彼らに共通するもののような気がしてならない。レリアの表情、撮り方がマン・レイ作品の女性たちっぽさある。

長男ヒュー(ヒュー・ハード)の黒人なりの生き方と振る舞い、兄弟でありながら、ベニー、女であるレリア(レリア・ゴルドーニ)の抱えるものや思想が明らかに違うのがめちゃくちゃおもしろい。最後にこれはインプロですとテロップが入って、かっこよ、、となる。
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