似太郎

アメリカの影の似太郎のレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
4.0
【黒光り】

「その一瞬」を永続的なモノとして封じ込めるカサヴェテス的話術を確立した記念碑的映画。瑞々しい青春映画の佳作。

チャーリー・ミンガスの荒々しいサックスが、底辺層に蠢く黒人たちの無骨な生き様を雄弁に語っておられる。初期の中上健次の文学にも通底する感じ。

59年はゴダール『勝手にしやがれ』トリュフォー『大人は判ってくれない』大島渚『愛と希望の街』など、映画界に於ける新主流派が続々と現れた年でもありそんな映画の変容期に出現した【異物】の一本が本作。

日本ではATGが配給し黒澤明や淀川長治も絶賛したと言われる作品。フリーキーな演出がNYの混沌とした街並みをあらゆる角度から舐め回すようにして撮ったアメリカン・ヌーヴェルヴァーグと呼びたい一作。
似太郎

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