まーしー

デッドマンのまーしーのレビュー・感想・評価

デッドマン(1995年製作の映画)
3.0
アメリカ西部開拓時代。ある青年(ジョニー・デップ)が、職を求めて訪れた街で起こした殺人事件を機に、3人の殺し屋から狙われる——。

頭で考えるのではなく、心で感じるモノクロのウエスタン映画。
終始、抑揚なく静かに物語が進行するが、不思議と退屈ではない。
アメリカの牧歌的な風景を基調としつつも、「娼婦が口淫する」、「殺し屋が死人の頭を踏み砕く」といったショッキングな映像がところどころ挿入され、強弱のついた作風となっている。
時間の経過や場面の転換を示すため、映像が暗転するのも印象的。そして、突如流れ出す、荒々しいとも受け取れる音楽。
こうした映像と音楽が、一見、退屈そうに思える話を盛り立ててくれる。

主演はジョニー・デップ。言わずもがなの男前。珍しく素顔での登場だと思ったが、やはり途中からメイク(と言ってもインディアン風のペイント)をしていた。
このデップが演じる青年の変化も特筆に値する。
冒頭の汽車のシーンでは、おどおどした気の弱そうな男性だったが、逃走劇を繰り返すうちに、少しずつ皮が剥けていく。
人間としての成長? 死神への変身? 
表現は難しいが、死と隣り合わせの時間とインディアンとの出会いがもたらした変化であることは間違いない。

全体的に「死」の雰囲気が漂っているため、終始、暗いトーン。
しかし、凝った映像と音楽、若かりし頃のデップの演技は観る価値がある。デップファンとしてたいていの作品は鑑賞済だが、なぜか本作は未見だったので、一度は観ておきたかった作品。
最近はハリウッドから干され気味のデップ。本作の演技を見せられると、早く銀幕にカムバックして欲しいと願ってしまう。