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ビンラディンを探せ! 〜スパーロックがテロ最前線に突撃!〜のくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【テロリストを探して隣人を知る】

先日『オレの獲物はビンラディン』をみたので、併せてコチラも投稿。(当時)もう10年前の映画になったのね。日本でDVD化された時一度みましたが、改めて。

『スーパーサイズ・ミー』は未だ食指動かず、みておらず、初スパーロックでした。ちなみに、製作はワインスタイン・カンパニー(苦笑)。

奥さんが妊娠したので、育児に適切な環境とは?と考えだしたら、まずは行方不明のテロリスト、ビン・ラディンを捕えないとダメだ!との結論となり自分で捕まえよう、とスパーロック君は中東に旅立つのでした。ビン・ラディンが殺害される3年前のおはなし。

勿論、本気で捕まえる気はなく、それを方便として中東地域、ビン・ラディンゆかりの地を巡り、得たものを並べてゆくドキュメンタリー。エジプトからパキスタンまで。

映画としての仕上がりにはツッコミたいこと幾つも、ですが、取材で得られたものは興味深い。アメリカ人としてのスパーロックが、自分がどう思われているかを知ってゆく過程に成程なあ、と思う。

市井の人たちのコメントで印象深いのが “アメリカ人は好きだがアメリカはよくない”というもの。ここには矛盾が含まれますが、気持ちはわかるし、“イスラムは皆テロリスト”と断ずる短絡性とは大違いでしょう。

国同士には壁があるが、隣人と成れば手をつなげる。本作の提示する良い面ですね。哀しいかな、10年経っても壁は相変わらず消えないようですが。ビン・ラディンもサッサと殺しちゃったしね…表向きは。

いよいよ潜伏可能性大、の地に踏み込む前で、スパーロック君はある決断をしますが、カメラ位置からして、撮る前に決めていたのでしょうね。その先、旅を通じて得る結論も、大よそは事前に用意されたものでしょう。

それでも、(当時)10年前時点でのアメリカ人中東突撃レポートとして、いま見ても参考になるコトが多々、埋まっていると思います。

<2018.5.21記>
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